風が呼んでるマイトガイ
〜『小林旭』特集 〜

 今年2004年、芸能生活50周年ということで全国ツアーを行うなどまだまだ元気なアキラ。エルビスと同期と考えると凄いんだなあと感慨深い。逆にエルビスは今でも充分活躍していておかしくないということだけどね。でもって10月15日東京国際フォーラムでの記念コンサート「渡り鳥 AKIRA 50 HISTORY」に行ってまいります!生アキラは一度絶対体感しておかなければという使命感を勝手に負っているワタクシ。楽しみだなぁ。

 で、私ひとりアキラの魅力に浸っているのはモッタイナイ!ということで今回こんな企画を立ててみたのです。まずは入門編ということで気軽に(?)触れることができるものをご紹介したいと思います。
第1回目は「歌うアキラ」特集。

<CD>
アキラ1」民謡&俗謡集 コロムビア

 そもそも小林旭とは何者なのか?全く知らない人はいないとは思うが(思いたい)。「自動車ショー歌」(1964年)を足をまっすぐ蹴り上げながら、船村徹に「これは煙突だ」と言わしめたあの高音を出す。そんなイメージが多いだろう。でもこれで充分言い得ているんじゃない?間違いない。

 そもそもあの歌声にコロムビアのスタッフが「面白い声だ」ということで歌わせてみた経緯から、俳優とはまた違った側面を引き出すことになるのだ。しかしフタを開けてみたらただの煙突ではなかった。どんな歌でもこなすまさにキング、エルビス同様素晴らしい歌心をもった歌い手だった。

 で、この1〜4はそれぞれジャンルを分けて選曲されたアルバム。1枚目は民謡&俗謡集。

 一曲目は「ダンチョネ節」(1960年)。彼の映画「流れ者」シリーズ第一作目「海から来た流れ者」(1960年・山崎徳次郎監督・日活)主題歌。舞台が大島なので選ばれたのが神奈川県民謡のこの曲。アキラの重要アイテム民謡シリーズがここから始まるわけです。いろいろな土地へ流れ行くアキラがそこのご当地ソング=民謡を歌うというパターンが出来るまでには紆余曲折あったようです。(まずは石原裕次郎との差別化というのがあります。)作詞・西沢爽、遠藤実は補作曲となっていますが原曲とは似て非なるもの。そして編曲の狛林正一によるマンボアレンジ!民謡なのにペレス・プラド調マンボ!「ウッ!」と掛け声まで入っているんですから当時としては遊び心があるというか、相当冒険的な試みだったことが容易に推測できます。今聴いても何じゃ!と思ってしまうんですから(少なくとも私は)。アキラの歌も素晴らしいが、アレンジの方にも充分耳をかたむけていただきたい。
 個人的に好きなのは「アキラのツーレロ節」「ノーチヨサン節」(1960年)「アキラのラバさん」(1961年)・・・うーん、どれも捨て曲ないや!全部いい!ただ注意して欲しいのはあの高い声につられて躁状態になるので、全曲聴いた後はかなり酔っぱらいます。未発表音源の「地底の歌」では美空ひばりの名前が出てきます。

●「アキラ2」ポップス&カバー集 コロムビア

 1962年にツイストブームが起こりツイスト男、藤木孝の「ツイストNO.1」をアキラもカバー。この他にオリジナルのツイストナンバーも作られており、力の入れ様は他を圧倒しています。そして服部先生の「一杯のコーヒーから」もツイストアレンジで歌っちゃってるんです!でも全く違和感ナシ。素直にノレル曲が揃っています。そしてコロムビアの企画で美空ひばり、島倉千代子、守屋浩、コロムビア・ローズと共に制作された「童謡集」からの6曲は素晴らしい!秋の夜長にじっくり聴いていただきたい。未発表だった「黄金虫(アキラの黄金虫)」が入っているだけでも買いの一枚。またハマクラさんの「恋の花に気をつけな」(1962年)は隠れた名曲。アキラ初心者はこのアルバムをまずオススメいたします。

●「アキラの童謡集」 コロムビア 

 気に入られた方は「アキラ2」未収録のものもこちらで聴けます。この秋一番のオススメ!    

●「アキラ3」主題歌&ヒット曲集 コロムビア

 デビュー曲「女を忘れろ」(1958年)を含むベスト盤。一曲目は「ダイナマイトが150屯」(1958年)から。裕次郎と差別化をつけるために作曲家、船村徹はロックンロールを持ってきた。エルビスの「監獄ロック」を念頭に書かれたこの曲は、甲斐よしひろを始め多くロック界のミュージシャンがカバーしている。日本のロックの原点がここにあったりして。 

「アキラ4」ユーモア・ソング集 クラウン

 1964年、所属レコード会社をクラウンへと移したアキラ(同年に離婚)。まずは「自動車ショー歌」。このヒットで同様のコミカルな作品を連作していく。本盤はそれを集めたもの。春風亭柳昇「雑俳」を歌にした「雑俳ソング」(1966年)が個人的には好き。とうとうSF映画進出か?「宇宙旅行の渡り鳥」、ロックンロール「ショーがないね節」ときて最後は「赤いトラクター」で締めくくる。気持ちが楽しくなる一枚。

 

 どうです、興味わいてきました?私の文章では伝えきれないのでレンタルでもいいから聴いて欲しい!紹介した中では「昔の名前で出ています」「ついてくるかい」「熱き心に」「アキラのじーんときちゃうぜ」など入ってない曲もあります。それはまたベスト盤で聴いていただくことにして。この秋の夜長音楽をじっくり聴くには最高の季節です。まずは「童謡集」で心を癒されてはどうでしょうか。

<書籍>
 「小林旭読本〜歌う大スターの伝説」 小林信彦+大滝詠一責任編集 キネマ旬報社

 今回の特集はこの本を参考文献としております。

(2004.10.7)